
先月、著書『日本の「仕事の鬼」と中国の〈酒鬼〉―漢字を介してみる日本と中国の文化』が日本僑報社から刊行された。
冨田さんは1970年から41年間外務省に在職し、北京の大使館のほか中国各地の公館に長年在勤した。本人は大学で中国語を専攻し、中国語には自信があったが、当初、中国での勤務では、中国語に関する困惑や新発見が多かった由。
1970年代の北京勤務では、協定交渉の通訳を担当した際に、「協議」という語が中国語では「合意、取り決め」という意味で、日本語の「協議」にあたる中国語は「協商、磋商」であることを知らずに「協議」をそのまま訳して意味が通じなかった経験をしたこと、またテレビの夜のニュース番組で、アナウンサーの「観衆朋友、晩上好」(視聴者のみなさん今晩は)ということばを聞いて、「視聴者がなぜ「朋友」(ともだち)なのだろう」と抱いた疑問など種々のエピソードが記されている。
日本と中国とは同じ漢字文化圏にあり、わが国では中学、高校の漢文の授業で中国の古典を学び、親しみをもつ人が多い。時代の流れを経て、今日では日中両国はそれぞれ新たな漢字文化をもっている。
そして今日では、中国語の科学、経済分野の用語の70㌫以上が日本語から転化したものとされているという。
冨田さんは、両国の文化の接点であり、両国の共有財産でもある漢字の現状と今後の推移を見つつ、日中関係を考えていきたいとしている。
1947年生まれ。
(T)