戦後80年に当たって
かつて日本の侵略戦争が、軍人・民間人合わせて310万人にのぼる犠牲を出し、数千万人の近隣アジア諸国諸民族の人びとの命を奪い、敗戦して80年になります。この間、日本は、その歴史的事実に学び、反省して、再び戦争を起こさないことを誓いました。平和憲法の下で、他国や他地域での紛争や戦争にも参加せず、加害、被害どちらにも関わりませんでした。これは日中友好協会をはじめ、数多くの平和民主勢力が奮闘した結果だと言っても過言ではありません。
戦争はなぜ起こり、多くの人びとが苦しまなければならなかったのか、原因は何だったのか。日本では日清、日露戦争を経て軍部が巨大な力を得て、中国全土を侵略するために、治安維持法により反戦主義者などを弾圧し、全国民を動員して戦争協力させました。
その結果、国民は国内外各地で被害者となり、加害者ともなり、多くの悲劇を生みました。
さらに軍国日本は、台湾・朝鮮を植民地支配し、中国大陸とアジア各地を侵略し、無辜の民の生命や財産を蹂躙しました。日本の敗戦は、アジアの諸民族にとっては解放のきっかけとなり、喜びをもって迎えられました。
近年、80年前に、平和および安全を維持するために力を合わせようとスタートした国際社会に、そのことを忘れたかのように各地で紛争、戦争が起きています。また、差別や対立を煽る排外主義やナチズムを称賛する政党までも台頭してきています。
日本でも自公政権は、中国に対抗するためとして米国と一体化した軍備拡大を進め、武器輸出にもかじを切っています。また、日本が唯一の被爆国であるにもかかわらず、核武装を公言する国会議員まで出現し、憲法9条改悪に向けた動きも加速しています。
戦後80年が経って、当時のことを自ら話せる人が次々と他界しています。しかし戦争の悲惨さ、残酷さはウクライナ、ガザの惨状を見れば一目瞭然です。彼の地で起こっている事態を決して他人事として見るのではなく、かつての日本の加害、被害の事実を想起し、侵略戦争に反対しなければなりません。戦争を起こさせないためには近隣諸国との信頼関係が肝要で、ねばり強い外交努力により諸問題を解決すべきです。
特に日中両政府が「4つの基本文書」で合意した「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力または武力による威嚇に訴えないこと」を遵守すべきです。
戦後80年に当たり、日本中国友好協会は「不再戦平和」の理念で、日本を再び戦争する国にしないために、思想信条を超えて、平和を求める多くの人びととともに奮闘することを訴えます。
2025年8月15日 日本中国友好協会
会長 井上久士