1949年の新中国の成立は世界をゆるがせたが、「白毛女」の誕生は世界映画を驚かせた。歌が入る新形式のリアリズム映画は世界映画史の1ページを飾った。監督は水華と王浜で、主演の田華は新生中国の映画女優としてその名を内外にとどろかせた。
[あらすじ]
1930年代の中国北方のある村で小作農の楊白労に喜児(田華)という美しい娘がいた。王おばさんの働きものの息子・大春(李百万)と恋仲だった。2人は新春に結婚式をあげることになっていた。
地主の黄世仁(陳強)が、喜児を見そめて借金のかたに手に入れようとたくらんだ。年の瀬に白労が黄家に利息を払いにいくと、黄は元金を全部返せと迫り、娘を売る証文に無理やり拇印を押させた。楊白労は自殺した。
翌朝、父の死を嘆く喜児は大春と引き離され黄家に引き立てられた。喜児は大春との再会を夢みながら黄家で働いたが、ある夜、黄世仁に手ごめにされた。大春は喜児を助けようとして果たせず黄河対岸に逃げた。喜児は身重となり、売りとばされるところを逃げて深山に入った。そこで流産し、きびしい自然の中で美しい黒髪は白髪と化した。山に白髪の仙女がいると噂が広まって2年。日中戦争となって八路軍が北上してきた。その中に大春がいた―。
小作農と地主との対照的な歌から始まって、喜児の喜びの歌などがリアルな描写と結びついて見るものを引きつけた。痛みと怒りと喜びを描いて古い中国からの解放宣言の映画となった。
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