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HOME > 私と中国 > 2015年2月5日号

私と中国〈906〉

『ソ満国境・15歳の夏』の著者


田原 和夫さん

 


自著が映画化され年内公開へ

 今年は戦後70年。田原和夫さん(84歳、横浜市在住)は、新京(現在の長春)で中学3年生(15歳)だった70年前(1945年)の5月、130人の同級生とともに東満の東寧報国農場に学徒動員されました。
 農場はソ連国境までほんの1`で、眼前にはソ連軍のトーチカが点在。当時すでに弱体化していた関東軍が防衛線をカモフラージュするため少年隊を配置したのです。
 8月9日、ソ連が国境を越えて侵攻。田原さんらは逃避行で東満の密林を300`もさまよった末、ソ連軍の捕虜になり、収容所へ。1日2食、薄いおかゆでの毎日の使役はまさに生き地獄。秋の訪れで飢えと寒さで倒れる生徒が続出し、4人が尊い命を失いました。
 10月12日やっと解放され、徒歩や無蓋貨車などでハルビンを経由し、痩せこけボロボロの姿で新京の両親の下に帰り着いたのは10月20日でした。
 戦後、田原さんは東大経済学部を経て実業界で活躍しますが、生死の境をさまよった苦難の体験について「なぜあんなひどい目あったのか、責任を追及したい」との執念から、同級生からの聞き取りや資料収集に努め、定年後の1998年に『ソ満国境・15歳の夏』を上梓。冷静な筆致で実証的に記されたその内容は各方面から高い評価をえました。
 さらにこの著作は映画化され、一昨年夏の中国現地ロケを経て昨年末に完成、今年秋に一般公開される予定です。
 1930年北京生まれの田原さんは中国人並みの中国語を話すベテラン。「中国は私の第一の故郷、私の半分は中国人」と率直に語り、「日中両国の若者が過去の歴史の事実をありのままに真剣に学んでほしい」と、歴史認識の大切さを強調しました。 (平井)


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