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私と中国〈873〉

笹原 キヌコさん写真 日中友好協会

山形中国帰国者の会
笹原 キヌコさん

 

孤児体験の“語り部”として

 山形県は、長野県に次ぐ「満蒙開拓団」の多かった県である。1941年7歳で父母兄弟と共に中国東北部の黒龍江省に渡り、40年間中国で暮らし、47歳で帰国した。
 自らの苦難の体験を山形北高など県下の高校生に「語り部」として話している。その企画をNHK山形放送局が立ててくれた。第1回は300人、第2回は150人が聞いた。
 話は3つのポイントに絞っている。第1は、戦争は絶対に反対、自分はその犠牲者であること。第2は、平和を守ることの大切さ、その中心は憲法9条であること。第3は、親からもらった命を大切にすること。
 「いじめで自殺するなんて、命こそいちばん大事なもの」と、何度も死の瀬戸際をさまよった体験談に学生たちは目を見張って聞きいった。また日本に帰ってからも「日本語が話せないことから、中国人扱いされて泣きながら踏ん張ってきた」人生体験も若い世代の心を打った。
 その感想のひとつに「話を聞くまでは、中国・韓国などなくなればいいと思っていた。しかし日本が中国で戦争を起こし、韓国を植民地にしたことを知り、考えが変わりました」。これを読んで涙がこぼれた。「語り部冥利に尽きる感動でした」と話す。
 「いま憲法9条が危ない。命のある限り、もっともっと話したい」と、年齢を忘れて新たな生きがいに充実した毎日を送っている。(N)

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