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HOME > 日中友好新聞 > 2017年1月25日号

日中友好新聞

トランプ対習近平 対決になるか
どう動く米中関係
伊藤力司


 

shinbun

トランプ氏は昨年12月、台湾の蔡英文総統と電話で会談した後、
テレビ番組で「一つの中国に縛られる必要ない」と公言。
中国はこれに抗議し、「一つの中国」原則堅持を求めました。
トランプ氏は、貿易問題や南シナ海問題でも中国を非難しました。
上は、トランプ発言と中国の対応を伝える「しんぶん赤旗」16年12月13日付の記事。





 「個人的な意思で歴史の大勢を変えないことが中国と米国の関係を発展させる正しい方向だ」。中国の王毅外相は昨年12月22日付の共産党機関紙・人民日報に掲載されたインタビューでトランプ米大統領に釘を刺した。



一つの中国原則に挑戦



 トランプ氏は1月20日、アメリカ合衆国第45代大統領に就任したが、就任以前の昨年12月2日台湾の蔡英文総統と電話で会談したことが大問題になった。米国は1979年に台湾と断交して中国人民共和国と外交関係を結んだが、この時米国は台湾を含む中国は一つであるとする中国の大原則を認めた。以来37年間、中米関係はその線で維持されてきた。
 ところが何事も一筋縄では収まらないトランプ氏。蔡英文総統から大統領当選を祝福する電話を受けて「台湾のプレジデント(総統)」と話し合ったことを公開した。これでは事実上「一つの中国」に含まれない「台湾共和国」の存在を米国が認めたことになる。中国にとっては許しがたい暴挙である。
 中国は当初、トランプ新政権の誕生に期待を寄せていた。習近平国家主席はトランプ氏当選後に送った祝電で「衝突せず、対抗せず、互いに尊重してウィンウィンの関係を維持する」ことを呼びかけた。こうした中国側の呼びかけに対して、中国の版図に入ることを拒否している台湾総統を認める発言をしたのだから、中国にとっては「由々しき大事」だ。

南シナ海での対立

 米中の心理作戦が続く南シナ海では昨年12月15日、米海軍の無人水中探査機が中国海軍に奪われるという事件が起きた。トランプ氏はツイッターで「中国が無人探査機を盗んだ」と非難、中国外務省スポークスマンは「盗む」との表現は「不愉快」とコメントしたが、中国側は無人探査機を米側に返還した。
 中国側はその後、中国海軍がただ1隻だけ保有している原子力空母「遼寧」を南シナ海に派遣。南シナ海で「航行の自由」作戦を展開している米海軍の動きに対して、中国側は寸分なき警戒を続けるつもりだろう。
 2012年秋の中国共産党第18回大会で党トップの共産党総書記に選出された習近平氏だが、今秋第19回党大会で党の最高機関である党中央委員会政治局常務委員会の「トップ7」の人事を習氏系人脈でまとめきれるかどうか。序列NO2の李克強首相(共青団出身)と習近平氏の関係はどうなるか。
 18世紀に世界一の大帝国だった清帝国をモデルに「中華民族の復興」を目指し、「中国の夢」の実現を掲げる習近平主席とトランプ大統領の勝負はこれからだ。



shinbun

東シナ海から太平洋へ抜ける中国の空母「遼寧」などの
動きを報道する朝日新聞(16年12月26日付)




米側は硬軟両面の人事

 トランプ大統領は就任以前から、中国に向けて厳しい言葉を投げつけてきた。なかでも「中国は為替操作国」と決めつけ、米国に輸入される中国製品には45%の関税を課すとツイッターで発言。新設する国家通商会議の委員長には、対中強硬派のピーター・ナバロ氏を指名した。
 その一方、トランプ氏は新しい中国大使に習近平主席の古くからの友人であるテリー・ブランスタッド・アイオワ州知事(70)を指名した。
 中国には取りあえず厳しく当たる―その結果次第でまた次の中国政策を考えるというのが、トランプ氏の当面の対中国方針であろう。



(ジャーナリスト)







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