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日中友好新聞

中国全人代、新5カ年計画を決定
改革へ決意示す
藤本隆


 

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3月5日の全人代開幕式で政府活動報告を読む李克強首相=北京の人民大会堂(写真=藤本隆氏提供)



 中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が3月5日~16日、北京で開かれました。大会は、2016~20年の経済社会政策の方針を定めた「第13次5カ年計画」を正式決定。中国経済の成長減速が懸念されるなか、経済改革への強い決意を示しました。


日中協力の支援活動


 新5カ年計画は、中国が掲げる5年後の「小康(ややゆとりある)社会の全面的建設」に向けたです。 李克強首相は大会初日に政府活動報告を読み上げ、20年までに国民の平均収入を10年の2倍にするため、新5カ年計画で年平均6・5%以上の経済成長率を維持すると表明。今年の経済成長目標は、6・5~7%に設定しました。
 現在の中国経済の最大の課題は「中所得国の罠」克服です。これは、新興国が安い労働力を背景に経済成長した後、高度な技術の産業構造に転換できずに経済停滞に陥るというもの。ロシアやブラジルなどがこの罠に陥っているとされます。
 李首相は3点の課題を挙げました。
 第1に、改革開放政策を堅持し、経済発展を追求すること。
 第2に、投資・輸出主導型経済から、内需主導型経済への転換を進めること。そのため、「供給側の構造改革」として、供給側である企業の生産の質や、サービス業の質を高めることを打ち出しました。
 第3に、新技術・新産業の成長を促し、経済成長の新たな原動力とすることです。


生産過剰問題の解決を
 鉄鋼や石炭などの業界は生産過剰が問題となり、経営が困難となっています。李首相はこれらの企業を「ゾンビ企業」と名付け、合併や再編などの方式で淘汰すると表明しました。これは国有企業改革に踏み込むことになります。
 ただ、この過程では鉄鋼・石炭業界だけでも計180万人の失業者が出る見込み。他業界を含めれば計500万人以上にのぼるという分析もあります。中国政府は中央財政から1000億元(約1兆7400億円)以上を拠出、再就職支援などに充てる方針です。
 改革への決意を示した李首相は「わが国の発展が直面する困難はさらに多く、試練はさらに厳しい。激戦に向けた十分な準備をしよう」と呼びかけました。



貧困対策に力入れる

全人代の開幕式
全人代の開幕式=3月5日、北京の人民大会堂
(写真=藤本隆氏提供)

 

 また、中国政府が力を入れるのが貧困対策です。新5カ年計画では、現在5575万人いるとされる貧困人口をゼロにする目標を提示。貧困地域での産業育成や、農村から都市部への移住などを大規模に進める計画です。李首相は「脱貧困のたたかいに断固勝利する」と宣言。今年は貧困対策資金を43・4%増やし、1000万人以上を貧困から脱却させる方針です。
 ほかにも、環境や腐敗、食品安全、医療、教育、高齢化など、さまざまな課題を抱えており、解決は容易ではありません。中国政府は、経済の下向き圧力が高まるなか、経済発展を続け、人民の生活を向上させるという難題克服に乗り出すことになります。(ジャーナリスト=北京在住)






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