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HOME > 日中友好新聞 > 2015年1月25日号

日中友好新聞


平和と未来への展望開く真実の力
平和の大切さ学ぶ必要不可欠な教材
加害証言DVDセットが大きな反響

 

 

証言DVDに収録されている主な証言者たち。上段左から永富博道、富永正三、湯浅謙、土屋芳雄、下段左から小山一郎、矢崎新二、湯口知正、渡辺武利(敬称略)。8人ともすでに他界されている。

 

 

 毎日新聞社と埼玉大学社会調査研究センターが昨年10月から11月にかけて行なった世論調査で、戦後世代の約半数が「戦争体験を聞いたことがある」と答えた一方で、「戦争体験を聞いたことがない」との回答は年代が若くなるにつれて増え、30代では57%、20代では60%にのぼっています。
 戦後70年を迎え、戦争体験者が少なくなる中で、若い世代が戦争体験を聞く機会は減少しつつあり、とりわけ、日本の侵略の実態を伝える加害体験を体験者から直接聞くことは望めない状況を迎えています。

 

 

 

元日本兵の告白を編集

 

 こうした状況の中、1991年から2001年にかけて日中友好協会が制作したビデオで、一昨年にDVD化された「証言―侵略戦争」3部作と2007年制作のDVD「泥にまみれた靴で」が大きな反響を呼んでいます。
 このDVDは、中国に対する侵略戦争で、捕虜の惨殺、生体解剖、拷問、強制連行など数多くの加害行為を働いた元日本兵の証言を中心に集めたもので、第1作の「証言―侵略戦争〜人間から鬼へ、そして人間へ」は1991年の完成当時、日本の主要メディアだけでなく、海外メディアにも取り上げられるなど、国際的な反響を呼び起こしました。

 

 

 

20・30代若者中心に制作

 

 この証言ビデオの制作を提案し推進したのは、20代、30代を中心とした若者たちでした。
彼らは、被害に比べて語られることの少なかった加害体験を重視し、生命をかけて「二度と同じ過ちを繰り返してほしくない」と自らの加害体験を語り続ける元日本兵たちの姿を、感動をもって受け止めました。
 そして、過去の悲惨な体験を語るだけでなく、「人を愛することができる人になってもらいたい」「真実を見きわめる目をもってほしい」と訴える体験者の反戦平和の思いを、自らの生き方をも問うものとして、さらには未来への希望として受け止め、体験者の証言を記録し広く語り伝えていくために、ビデオ収録と映像化を進めていったのです。

 

若者たちが参加した第1作「証言-侵略戦争」の証言収録の様子(1991年3月)

 

 

高校生からも感動の声

 

 いま、この証言DVDは、幅広い層に上映普及が広がっています。中には、新しく入学してくる生徒たちを対象に毎年上映を続けている高校や大学の先生方もいます。
   「このような映像を見たのは初めて。侵略戦争はなかったと言っている人たちがいるが、このような映像がある限り、また証言をする人がいる限り、『侵略戦争はなかった』とは言えない」「とても怖い映像だった。でも知らないでいることはもっと怖いと思った」
 昨年10月に寄せられたこれらの高校生の感想からは、学校や家庭で戦争について語られることが少なくなっている現状と、事実を知った若者たちの変化と未来への希望が見えてきます。

 

 

 

反戦の取り組みを後押し


 秘密保護法、集団的自衛権の行使容認などの動きは、国民の危機感を高め、この政治の危険な動きを押し止めるための不可欠の力となって、証言DVDはさまざまな反戦平和の取り組みを後押ししています。

 

「加害の事実は知っていたつもりだったが、証言の内容はこれまでの想像を超えるものだった。人間として事実、真実を見ることで未来が開けることを伝えていきたい」(61歳)

 

「言語に絶するような被害を受けた中国や朝鮮の方たちの気持ちを逆なでするような政治家たちが、日本の方向転換をしようとしています。戦後日本の平和主義・民主主義が危うくなってきたと感じます」(77歳)

 

「このDVDの問題提起こそ、日本を少しずつでも変える原点だと感じます」(64歳)

 

「重い中味。でも若い人を中心に、ぜひ伝えたいと思って購入させてもらいました。秘密保護法なんて化け物が出てきている今こそ広げなければと改めて思っています」(53歳)

 

「平和憲法を守らなければならない。日本が歴史の事実に向き合い、謝罪し、賠償しなければならない。絶対に侵略戦争を美化してはならない」(38歳)。

 

 戦後70年。証言DVDを見た人びとから寄せられた感想や思いを力にしながら、証言DVDの上映普及活動を幅広い国民に広げ、侵略戦争の正当化と歴史の修正を許さない取り組みを強めていくことが求められています。

 

 

 

 

DVD「証言−侵略戦争」3部作、DVD「泥にまみれた靴で」と各解説ブックレット

 

 

 

 


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