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日中友好新聞

2014年3月5日号1面
尖閣問題の平和的解決に努力を
日本政府に「各界アピール賛同署名」提出

 

 

外務省での申し入れ(左から下川眞樹太外務省アジア大洋州局参事官、大田宣也本部副理事長、諏佐剛央都連理事長、
井上哲士参議院議員、田中義教協会本部理事長)


 

  池辺晋一郎・ジェームス三木・森村誠一・山田洋次氏ら各界10氏が「尖閣問題の平和的な話し合いによる解決を」と題するアピールを発表してから6カ月。これまでに賛同者は7600人に達しました。
  日本中国友好協会は、日中友好新聞に掲載された「賛同者」全員の氏名を添え日中両国政府に申し入れることを決め、2月12日には、日本政府(外務省)に出向きました。
  この日の行動には、田中義教本部理事長、大田宣也同副理事長、諏佐剛央東京都連理事長の各氏と本部事務局員が参加、井上哲士参議院議員(日本共産党)が同席しました。

 

 

日中関係は、最も重要な2国関係のひとつ

 

  外務省では、下川眞樹太アジア大洋州局参事官が応対しました。 冒頭、田中理事長が「各界10氏アピール」の趣旨と、署名用紙の形式は普通の連名式ではなく、1人1枚で、1枚1枚に自分の言葉で書かれたコメントが述べられている。ぜひ皆さんの気持ちに応えて欲しいとして7600人の賛同者からのコメントを紹介、そのすべてが「軍事衝突を絶対に避け、早期に平和的に解決して欲しい」というものであると説明しました。
  下川参事官は「日中関係は最も重要な2国関係のひとつであり、両国で確認している4つの文書(注)にもとづき、戦略的互恵関係を維持することを基本に対応している」と述べた後、「日本の国有化宣言が中国側に十分に理解されていない。また度重なる中国公船による領海侵犯は絶対に受け入れられない」と述べました。

 

 

衝突回避の「海上管理ルール」作りは重要

 

  田中理事長は「戦略的互恵関係どころか、現状は一触即発の状況であり、不測の事態を避けるために海上管理ルールをただちに作るべきだ」と指摘、参事官は「衝突防止のルールづくりは、両国の防衛当局間で実務者協議が続いていた。1回だけだが高級事務レベルの協議も行われた。現在は中断状態だが、その重要性は認識している」と答えました。
  続いて、理事長は「昨年35周年を迎えた日中平和友好条約では、武力による威嚇はしないと明文化されているが、残念ながら現在は相互にこれを犯している。双方が条約を順守すべきだ」と発言、参事官は「条約の基本は順守すべきだ。しかし、領土領海に対する挑戦や威嚇は仕方のないこともある。むろん二度と戦争はしないということが基本にあることは変わらない」と述べました。

 

 

「領土問題をめぐる紛争の存在」認めて話し合いを

 

 さらに理事長は「日本政府が『領土問題は存在しない』という頑なな態度をとっていることが問題解決を遅らせている。丹羽前中国大使が『領土問題をめぐる紛争は存在する』と指摘しているが、それを認めて話し合いのテーブルに付くべきではないか」と述べました。
  これに対し、下川参事官は「対話・協議による改善の努力は大事だが『領土問題がある』ことを前提にした話し合いは受け入れられない。アピールの『話し合いを通じて尖閣問題の解決を』の基本的な趣旨は、日本政府の見解とは異なる。これは中国側の主張と同じものだ」と述べ、アピールの趣旨に対する見解の違いを明らかにしました。

 

 

外務省前で左から諏佐都連理事長、田中本部理事長、大田本部副理事長

 

 

安倍首相の「靖国参拝」が険悪化に拍車かけた

 

  理事長は続いて「日中間のさまざまな分野で関係改善の努力がなされ、いい方向への動きも進んでいたが、安倍首相の突然の靖国神社参拝が『双方の話し合いのドア』を閉ざしてしまった。靖国参拝は中国・韓国だけでなく、米国からも批判が出ている。紛争拡大の恐れがある」と厳しく指摘しました。
  井上議員も「日中友好議員連盟の訪中のスケジュールがほとんどキャンセルされた。これによって友好交流は大きく停滞している。外務省は事態打開の努力をすべきだ」と述べました。
  これに対し参事官は、「靖国参拝をめぐり、日中間でさまざまな理解があることは承知している。しかし靖国参拝問題は首相の声明に尽きている」と述べ、尖閣問題との関連を回避する態度を示しました。
  最後に、田中理事長は「本日の申し入れの趣旨を総理に進言して欲しい」と述べ、参事官は「努力します」と答えました。 (宣)

 

(注)「4つの文書」

@1972年 日中共同声明
A1978年 日中平和友好条約
B1998年 日中共同宣言
C2008年 日中共同声明


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