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日中友好新聞

2012年1月15日号1面
歴史に学び日中関係前進につなげよう
協会主催 辛亥革命100年講演会

 日中友好協会本部と東京都連合会は昨年12月3日午後、東京都内で「辛亥革命100周年記念講演会」を開催。約100人の参加者は2人の講師、馮天瑜武漢大学教授と坂野良吉上智大学教授の熱弁に耳を傾け、盛大な拍手で3時間余のプログラムを盛り上げ、100年前の史実に学んで現在の日中関係前進の契機とすることを確認し合いました。

 

 協会本部の田中義教理事長が主催者を代表してあいさつを述べ、「両講師のお話から学んで今後の日中友好を切り開いていくきっかけにしよう」と提起。この行事が在日中国大使館、日中文化交流協会、日中友好会館、法政大学の後援をえたことを紹介しました。プログラムは法政大学の栃木利夫名誉教授の司会で進行。

 

「辛亥」を二つの側面から解明(馮氏)

 

写真1 日中友好協会
辛亥革命研究で中国の第一人者、
馮天瑜武漢大学教授

 協会の招きに応じて、この日の講演会のためとくに来日した馮教授は、辛亥革命研究では中国の第一人者。「辛亥革命の今日的意義―中国からの分析」をテーマに、「2000年に及ぶ専制帝政を終了させた」、「共和憲政の新たなページを切り開いた」という二つの側面から辛亥革命を解明しました。
 馮氏は「中国では紀元前3世紀の秦の始皇帝いらい清朝の終焉まで2100余年の専制帝政の歴史があり、その間『革命』と称して王朝の変遷はあったが、社会体制の変革はなかった」と歴史を振り返り、「専制君主制は、輝かしい古代文明の創造という点で積極的役割も果たしたが、宋代以降、清朝にかけて社会進歩への阻害要因が強まった」と述べ、孫文が「清朝の打倒だけでなく、2000余年続いた専制帝政自体の変革を提起した」ことの重要性を強調しました。
 「共和憲政体制樹立の歴史的意義」について馮氏は、孫文の政治的主張も「民主的共和体制の建設」だったと指摘。清朝の宣統帝退位詔書(1912年2月)に「共和政体への移行」が明記されたことを紹介、当時「共和制の内容はいっそうの充実と高度化が必要だったとしても、その前途は疑いもなく光り輝くものだった」と力説しました。
 馮氏は、宮崎滔天兄弟=(編集部注=滔天は兄の民蔵、弥蔵とともに辛亥革命を支援した)、梅屋庄吉、山田良政・孫三郎兄弟らの名前をあげて、「日本の民間人が辛亥革命に多大な支援を寄せたことに中国人民は非常に感謝している」と述べました。

 

革命理念のモデルは「明治維新」(板野氏)

 

写真2 日中友好協会

日中交流の視点で、
坂野良吉上智大学教授

 坂野氏の演題は「辛亥革命から100年―日中交流を考える視点で」。革命から100年を迎えた今こそ「日中関係を回顧し再出発させる時だ」と強調し、革命の共通目標だった「立憲改革」の発源地・モデルは近代日本であり、中国の「立憲派」は明治維新を手本に政治・経済・文化面での改革を追求したと説明。
 清朝末期に日本に留学した中国人学生らが日本語を介して近代を学び、革命のオルガナイザーとなり、革命理念を創造したことを明らかにしました。
 ところが、当時の日本政府は辛亥革命の本筋を正しく理解せず、隣に共和制の国が出現したことに反発、「中華民国・共和制の否認」を固持し、「民族間不和」を口実に侵略への道を進んだと、日中関係史を回顧。「日本は、中国の近代共和国100年の歴史的意義を再認識し、互譲・互恵関係を促進すべきだ」と力説しました。
 坂野氏は、中国は辛亥革命で「共和制」への道とともに、国家分裂の危機を回避し諸民族の結合体へ進む道を切り開いたと説明、辛亥革命以降の中国の歴史は「共和制度、民族融和を軸に展開された100年であり、これを日本の『明治百年記念』(1968年)と対比するなら、国民合意を得た輝かしい100年と判断される」と指摘しました。
 今後100年の日中関係は、「日本が日米関係偏重を是正し、日中・日米関係を同格に高めることが課題」として、「日中は共生(補い合う)関係、日米は共存(利害を調整し合う)関係であるべきだ」と結びました。

 

「友好運動への励みになった」

 

写真3 日中友好協会
両講師の熱弁に耳を傾ける参加者

 長尾光之会長が閉会あいさつを述べ、両講師はじめ講演会を成功させた関係者に感謝を表明。
 会場からは「近代中国の端緒を開いた辛亥革命のもつ意味を改めて感じた」、「日中関係と今日の中国を知るうえで辛亥革命の重要性がよく分かった」、「今後の友好運動への励みになった」などの感想が寄せられました。(J)

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