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日中友好新聞

2011年5月25日号1面
食こそ健康の源
「中医薬膳」の魅力と効用

 「薬食同源」といわれるように「食こそ健康の源」と説く食養生法「中医薬膳」の魅力と効用を、この道の専門家、村田由希子さん(東京・中野支部会員)に語っていただきました。次回から四季おりおりの「家庭薬膳」を月1回4面で連載します。

 

体質改善は食から

 

写真1 日中友好協会

村田由紀子さんプロフィール

  栄養士、調理師、介護福祉士、国際薬膳師、中医薬膳専門栄養士、日本ホリスティック医学協会専門会員・生活習慣病予防指導士。ヘルシーレシピ&オリジナリティあふれる料理教室を主宰。「旬を楽しむ家庭薬膳教室」「電子レンジ・オーブンDEクッキング」

 私は料理教室を26年間、介護福祉士を7年間ほどしておりますが、健康を維持して疾病を予防し、自分の健康を自分で守りながら心健やかに生活することが大切だと思います。「食」は人に良いと書き、食べ物は健康の源です。
 東京の中野区国際交流協会で日本語ボランティアとして中国の方に教えていました。漢字という共通語でお互いにコミュニケーションをとり、中国の文化、歴史、料理などを交流して、鍋貼餃子(焼きぎょうざ)、※咾肉(酢豚 ※口偏に古)、八宝菜(鶏肉と野菜のうま煮)と、野菜たっぷりの美味しい中国料理を作るようになりました。4000年の歴史に育まれた中国料理は世界中の人びとに親しまれ愛されていますね。
 約10年前ころから疲れやすい体質で、日ごろ悩んでいました。中国の友人から教えていただき、旬の食材、大根・山いも・ねぎ・豆類・木の実・ナツメ・陳皮(ちんぴ:みかんの皮)などで粥やスープを自分の体調の変化を意識しながら調理し、約1年間でだんだんと効果が現れ、体調がしだいに改善されてきました。
 料理教室でも粥やスープを作ると、皆さんの反応はとても好評で、それが薬膳との出会いです。

 

四季の変化と体質に合わせて

 

写真2 日中友好協会
中国の方から餃子作りを
教えてもらっているところ

 春には苦味のある野菜をとり入れ、肝臓を補う食事を心掛けて作るのが薬膳の考え方です。生薬を使った薬膳もありますが、使わない薬膳もあり、ねぎ・しょうが・大根・とうもろこし・冬瓜(とうがん)などの食材は漢方では生薬と呼ばれる薬にもなる食材です。
 生薬を使わなくても薬効の高い食材を選び、四季の変化、体調に合わせ、旬の食材をバランス良く取り入れて作る料理は、すでに薬膳といっても過言ではありません。
 刺身は魚を生で食べるので時には危険性があります。刺身には、青じそ・大根・しょうが・黄菊の花などが添えられ、つまを刺身と共に召し上がれば立派な薬膳で、食材の組み合わせに先人の知恵があります。
 (青じそ=防腐・殺菌作用、大根=消化・理気作用、しょうが=殺菌・発汗作用、黄菊の花=抗菌・解毒作用)
 本草薬膳学院の辰巳洋先生の「中医営養学=食と共に人生の旅」と題する講演がありました。
 「現代栄養学は、たんぱく質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素による分析をしますが、中医薬膳学は食材を丸ごととらえて、その性質と味の働きを活用する身近な食養生法」と教えて下さり、食材のもともともっている薬効的なパワーに興味をもち、中医薬膳学を本格的に学び始めました(日本は栄養学、中国は営養学と書きます)。
 「陰陽五行説」とは、薬膳が内包する自然観であり、人と自然の調和を求める中医学(中国伝統医学)の基本理論のひとつです。
 「身土不二(しんどふじ)」(健康には住んでいる土地のものを食べる)、「補気健脾(ほきけんぴ)」(臓腑の働きを気といい、気虚の時に気を補い、脾の働きを健やかにさせる)と四字熟語が多い薬膳の試験勉強の日々でしたが、ふと母親の手作り料理を思い出しました。
 五目ちらし・五目煮しめ・五目大豆・五目うま煮など、旬の食材を盛り込んだ食事や行事食を私たち三姉妹によく作ってくれました。
 日本の五目という言葉は五臓(肝・心・脾・肺・腎)を養うための五種類の食材を意味し、薬膳の理論がそこに隠されていることに気付きました。四季おりおりの旬の食材には元気の「気」が凝縮されています。
 人間は自然と共に生きている「天人相応」(人間も宇宙の一部であるという中医の理論)の考え方です。おかげさまで中国から国際薬膳師の資格をいただきました。

 

毎日の生活に活用しよう

 

写真3 日中友好協会

村田さんの料理教室

 中医薬膳学は身体の不調の改善は薬ではなく食にあるという「薬食同源」「医食同源」です。薬膳は自分の体質を知り、季節やそれぞれの体調に合わせた料理です。旬の食材は季節に起こりやすいトラブルも改善してくれるものが多くあるので、薬膳がもつ養生の精神を日々の生活に活用し続けたいと思います。
 日本には豊かな四季があり、旬の食材のパワーを実感し、簡単に作れる「旬を楽しむ家庭薬膳」を次回以降ご紹介します。

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