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日中友好新聞

2011年4月25日号1面
上野の森に子どもたちの歓声
愛くるしいパンダ リーリーとシンシンを公開

写真1 日中友好協会

雌のシンシン

 

写真2 日中友好協会

雄のリーリー

 2月末、上野動物公園(東京・台東区)に中国パンダ保護研究センター(四川・臥龍)から来日した2頭のジャイアントパンダ。2008年にリンリンが亡くなって以来、3年ぶりです。
 東日本大震災で動物園が臨時休園となり、公開が延期されていましたが、青空が広がり、桜が開花し始めた4月1日、待ちに待った日本のファンの前にその姿を表しました。
 活発な雄のリーリーと容姿端麗な雌のシンシンはともに5歳、人間でいうと20歳の青年期。2頭とも08年の四川大地震を経験。この度の日本の大震災にも負けず、元気いっぱいです。

 

「また見たい」と満面の笑み

 

 一般公開当日は2000人以上の長い行列ができ、パンダ舎にたどりつくまでに約2時間待ち。
 リーリーとシンシンはガラス越しに見学する来園者の目の前を歩いたり、寝転んだり。片手にカメラをもち、シャッターチャンスを待つ人垣ができていました。
 改修した屋外の運動場は、来園者との間にあった植物の植え込みを取り払いました。リーリーとシンシンが大接近するたびに子どもたちからは「こっちにきた」と大歓声。
 ニュースで公開を知った中学1年生と小学1年生の兄弟(茨城)は「初めてのパンダ。かわいかった」。10歳の女の子(千葉)は「思ったより小さい。また見たい」といっぱいの笑顔です。
 商店街の魚屋さんは「パンダ効果に期待している、お店が終わったら見に行きたい」と公開を楽しみにしていた様子。

 

日本の環境に慣らす調整

 

写真3 日中友好協会
シャッターチャンスを待つ子どもたち

 大人気の2頭について、上野動物園の副園長・田畑直樹さんに話を聞きました。田畑さんはこれまでに両生類、爬虫類を担当、ペンギンを飼育したこともあるベテランです。「来日したパンダを見たときはほっとしました」と語ります。
 動物園では4種類の竹以外にリンゴ、ニンジン、パンダダンゴを与えています。このダンゴは、「トウモロコシ、米、大豆、竹の粉末を丸めて蒸したもので栄養満点」。
 公開に向けて、野外ならしなど慣れない環境に適応するよう調整してきました。「いつ公開ですか、春休みに見たい」と1日30本以上の電話で問い合わせが殺到したそうです。

 

動物保護で日中共同研究も

 

写真4 日中友好協会
どれにしようか
ぬいぐるみを選ぶ姉妹

 現在、日本では和歌山に8頭、兵庫に1頭飼育され、和歌山では8頭のうち7頭が日本生まれ。とりわけ昨年生まれた双子のパンダは世界からも注目が集まっています。
 パンダの来日は東京都と中国野生動物保護協会との協定で、昨年7月に正式決定。支援金は95万ドル(約8000万円)。「パンダ以外の野性動物も減少しています。支援金については賛否両論。パンダを通して自然、動物の大切さを考えてほしい」と真剣な表情の田畑さん。
 今後、日中両国が共同で、繁殖研究プロジェクトを進め、自然環境の保全・野生動物の保護への理解を図ることを目指します。
 これまで飼育係・獣医が2回中国へ飼育研修に行き中国と交流を続けてきました。昨年は、尖閣諸島の問題で予定していたイベントが延期に。今後の日中交流について「技術的な交流以外でも前向きに計画していきたい」と述べました。(平澤)

 

ジャイアントパンダの生態
 中国のジャイアントパンダは、主として四川省北部、陝西省南部、甘粛省南部の山地に生息しており、国家一級重点保護野生動物に指定されています。保護研究センターなどで飼育中のもの約200頭、野生が約1600頭といわれます。
 国内に「パンダ保護区」が約40カ所設けられていますが、最大のものは四川省の臥龍自然保護区で面積約2000平方キロ。今回来日した2頭のパンダもここにある「保護研究センター」の出身です。
 成育したパンダは全長120〜150センチ、体重100キロ前後、竹が主食。雌の妊娠期間は3カ月〜6カ月で、通常1頭または2頭の子どもを出産します。繁殖力が低く、生育のための自然環境の悪化とともに、パンダ絶滅危機の原因となっています。(編集部)

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