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日中友好新聞

2011年1月25日号1面
広州アジア大会 初の“囲碁対局”
蘇耀国大会副審判長に聞く

 昨年11月12日から27日までの15日間、「第16回アジア競技大会」が中国広州市で行なわれました。この大会で囲碁が初めてスポーツとして採用されました。囲碁の参加チームは、中国、韓国、日本、中華台北(台湾)、中国香港、マレーシア、タイ、ベトナムの8カ国・地域でした。
 この大会に、日本側から副審判長として蘇耀国日本棋院八段(日中友好囲碁大会審判長)が参加しました。大会の印象などについて聞きました。

 

写真1

蘇耀国さん
 1979年、中国広東省広州市生まれ。15歳で来日、千葉県の高校を卒業。
 89年から敖立<女亭>プロ中国人棋士を先生とし、囲碁に励む(女+亭で一字)。16歳で入段。2003年、新人王戦(主催・赤旗)で優勝。
 現在八段。03年から「日中友好囲碁大会」審判長。

勢力図のまま、「韓国・中国」強し

 

 大会は、韓国・中国が存在感を示しました。その強さについて、蘇さんは語ります。
 「1950、60年代は日本がダントツでした。中国は『日本打倒』を目標に掲げ、日中スーパー囲碁の英雄聶衛平九段などを先頭に力を付けてきました。いまの世界の囲碁勢力図は、1位韓国、2位中国、3位日本、4位中華台北(台湾)の構図になっています」
 「かつての日本は内弟子制度が多く、木谷道場のような道場もたくさんあり、強い棋士が養成されていました。いまは内弟子や道場も減っています。逆に、中国は小学校から、囲碁のクラブ活動が盛んで、授業にも取り入れています。中国・韓国は『ピラミッド型』で囲碁人口の裾野が広く、若手の囲碁愛好者が非常に多いのです。囲碁人口は、中国は1億3000万人(10%)、韓国は480万人(10%)、日本は360万人(3%)といわれています」

 

日本は、囲碁愛好者が高齢化

 

 「日本も、近年『ヒカルの碁』ブームで若い棋士が進出した時期もありましたが、いまの全体の流れとしては『逆ピラミッド型』で、囲碁愛好者の高齢化が進んでいます。長期の経済停滞もあって、かつてのように会社や労働組合が囲碁活動を財政的にバックアップ出来なくなっていることも影響しています」
 「日本では『囲碁は老人がするもの』という間違った風潮があって、若い人があまり関心を示しません。また、日本は囲碁を文化分野に位置づけていますが、中国はスポーツだと考え国家予算もたくさん付けています」とその違いを指摘します。
 同時に「日中友好囲碁大会が毎年150人を超えるジュニアを集めていることは将来に希望がもてます」と付け加えました。

 

囲碁がスポーツになり、世界規模の発展へ

 

 蘇さんは続けます。
 「囲碁の歴史は長いのですが、世界的には、2004年に初めてIGF(国際囲碁連盟)が結成され、いまは100カ国くらい参加しています。しかしアジアを除くとアマチュアが多いのです。囲碁を国際的なスポーツ競技として認知させるために中国は粘り強く努力し、今回採用されたのです」
 「今度のアジア大会で、『囲碁がスポーツとして認定された』意義は大きいと思います。今後『オリンピック』の正式種目になる可能性もあります。そうなれば、今度の大会で囲碁が正式種目として採用されたことは画期的な意味をもちます」と、明るい表情を見せました。(宣)


アジア大会囲碁戦の成績
◎ペア碁 韓国がV
 ペア碁(混合ダブルス)には、10カ国17ペアが参加。日本からは高尾紳路九段・向井千瑛四段、結城聡九段・鈴木歩五段の2組のペアが参戦、ともに3勝3敗で結城・鈴木組が9位、高尾・向井組が10位でした。金メダルは、韓国の朴廷桓八段・李瑟娥組。銀メダルは中国の宋容慧・謝赫ペア、銅メダルは韓国の金侖映・崔哲瀚ペアでした。
◎団体戦男子 日本は「銅メダル」
 男女団体戦には、8カ国・地域が参加。男子団体戦には、山下敬吾九段、井山裕太九段、高尾紳路九段、結城聡九段、秋山次郎八段が参加、中華台北との3位決定戦で3勝2敗で勝利、銅メダルを獲得。金メダルは韓国、銀メダルは中国でした。
 女子団体戦には、鈴木歩五段、吉田美香八段、向井千瑛四段が参加、3位決定戦で、中華台北に2勝3敗で破れ、メダルを逃しました。

 

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