日中友好協会(日本中国友好協会)

日本中国友好協会
〒101-0065
東京都千代田区西神田2-4-1 東方学会ビル3F
Tel:03(3234)4700
Fax:03(3234)4703

HOME > 日中友好新聞 > 2008年3月15日号

日中友好新聞

2008年3月15日号1面
読書を通して、友好の新たな一頁ページを
本と人を結び人と人を結ぶ
及川淳子(フリーランスライター)

 

写真
中日友好読書会にて(及川撮影)

 中国の一般の人びとに日本への理解を深めてもらおうと考えた周冬霖さんは2005年、北京市に中日友好読書会を設立。今では2000人を超える会員が在籍しています。
 中日友好読書会会長、周冬霖さんの日中友好にかける思い、読書会の活動内容などをフリーランスライターの及川淳子さんに伝えてもらいます。(編集部)

25年前、日本との出会い

 笑顔の周冬霖さんを写した一枚の写真がある。生まれて初めて会った日本人が撮ってくれた、初めてのカラー写真だ。
 1983年夏、当時人民解放軍兵士だった周さんは、敦煌から蘭州行きの列車で、日本人夫婦と出会った。席を譲ったのをきっかけに、通訳を介して話がはずんだ。1962年生まれの周さんにとって「“日本人”のイメージは、抗日戦争映画に登場する“悪人”」だったが、“秋田県の藤森健司さん”という日本人は、にこやかで礼儀正しい印象だった。
 日本に興味をもった周さんは、中国語訳された日本の文学作品を愛読した。「読書を通して、日本の“軍国主義分子”と“人民”の違いを知った」という。
 その後、新聞記者をしていたが、1999年に日本の対中ODAの資料を目にする機会があった。それまでまったく知らなかったODAに強い関心を抱き、技術協力の現場や青年海外協力隊を取材した。対中ODAの事業を紹介し、両国関係者の交流を伝えたいと出版したのが、『日本対華無償援助実録』(社会科学文献出版社、2005年)だ。

「理性的な読書からはじめよう」を合言葉に

 日中友好のために活動したいと考えた周さんが、自らの経験から思いついたのが「読書」だ。自分と同じように、訪日経験や日本語学習経験のない、一般的な中国の庶民が日本を理解することが必要だと考え、2005年に中日友好読書会を設立した。「理性的な読書からはじめよう」を合言葉に、全国に2000人を超える会員がいる。
 ニューズレター『書友導刊』を発行し、中国で出版された日本関連図書を紹介するほか、各種交流会なども開催しているが、主要な活動はもちろん「読書」だ。
 その方法は、アメリカで始まった「ブッククロッシング」に似ている。読み終えた本を誰かに薦(すす)め、次々と読者を介して「本に旅をさせる」という非営利活動だ。
 中日友好読書会には、日中双方の協力機関から寄贈された図書をはじめ、多くの蔵書が登録されている。会員は自由に閲覧し、持ち帰って読むことができる。貸し出し券やレンタル料は不要で、期限の設定もない。読書を通して、日本を理解しようという人びとの良心に委ねられている活動だ。約束事はただひとつ、読み終わったあと、少なくとも3人以上にその本を紹介するということだ。
 読者の手から手へ、本の旅は漂流のようだ。周さんは、国内100都市のホテル、喫茶店、レストランなどに「漂流書架」の設置を計画中だ。喫茶店で雑誌を手に取るような気軽さで、より多くの読者に日本への理解を深めてもらいたいと考えている。

日中の相互理解のために行動を

 中日友好読書会は、本と人を結び、人と人を結んでいる。周さん自身の活動も、中国の緑化を支援する日中共同事業や、全国に300カ所以上あるという日中友好記念の桜の植樹林に関する活動へと発展している。
 「中日両国には多くの問題があるが、大切なのはお互いの理解だ。相互理解が足りなければ、理性も欠けてしまう。問題が発生したときに批判や非難をするだけでなく、中日関係に関心をもつすべての人が行動し、相互理解のために具体的な仕事をすることが必要だ」と語る周さん。昨年、初めて日本を訪れ「自分が目にしたこと、感じたことを多くの人に伝えたいという思いが強くなった」という。
 25年前の写真は、少しピンボケだが、周さんが初めて日本人に出会ったときの大切な思い出の一枚だ。写真が手掛かりとなって藤森夫妻との再会がかなうならば、きっと、伝えたいことがたくさんあることだろう。

 

●周冬霖氏プロフィール
  1962年生まれ。湖北省襄樊(シアンファン)市出身。高校卒業後、人民解放軍勤務を経て記者に。「中国合作経済報」、「中国特産報」などの記者在職中の1988年に華中理工大学新聞専業大学専科卒業資格試験に合格。現在は中日友好読書会会長のほか中国中日関係史学会理事、NPO北京日中人和文化交流中心主任などを務める。

 

中国に対する政府開発援助ODAとは
 「改革開放政策を進める中国の安定と発展、日中両国の友好協力関係の更なる強化」を目的として、1979年に始まった。
 「円借款」、「無償資金協力」、農村や貧困地区に対する「草の根・人間の安全保障無償資金協力」、文化や教育を支援する「文化無償協力」、人材育成や青年海外協力隊の派遣を行う「技術協力」が実施されている。
 円借款の新規供与は2007年度分で終了したが、環境保全や人材育成、日中両国の相互理解促進を重視した援助は今後も継続される。
参考:在中国日本国大使館・日本の対中経済協力
http://www.cn.emb-japan.go.jp/oda_j.htm

 

[一覧に戻る]