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日中友好新聞

2007年10月25日号1面

きりえのルーツ 中国剪紙の魅力を語る
西安剪紙学会会長 韓靖さんに聞く

写真竹取物語をイメージした作品と韓靖氏

 いまでは日本各地に広く知られるようになった“きりえ”(切り絵)。そのルーツは中国の剪紙(せんし)にあるといわれています。「日中切り絵2人展」(9月24日〜30日)で来日した中国西安剪紙協会会長の韓靖さんに「中国剪紙」について聞きました。

1000年続く、長い伝統

 中国剪紙の歴史は長く、1000年の昔、周・秦・漢・唐代にさかのぼります。奈良の正倉院には、中国唐代の剪紙「人勝図」が保存されています。剪紙は、婚礼や葬儀の飾りとして使われ、宋代には「髪飾り」(孤鬢娃娃)など女性の衣装の一部として使われるようになります。そして、中国の正月に玄関に飾る「福」、清明節など暦にある各種行事で室内の装飾などで使われるようになりました。いまでも農村や一部の都市で定着しています。
 日本のきりえの始まりは、宮崎県の高千穂神社の神棚の御幣(ごへい)にあるともいわれています。両国ともその原点には共通点がありそうです。

7つの種類、それぞれに目的と特徴

 「剪紙」と一口にいいますが多種多様です。剪紙は「切る」と「貼る」の手法で創作されます。最も普遍的なものは「窓花(チュアン・ホア)剪紙」=旧正月の飾りなど広く愛用されています。
 次は「礼花(リー・ホア)剪紙」=農村などで客を呼んだときのテーブルの装飾によく使います。「婚喪(フン・サン)剪紙」=文字通り慶弔用に使います。「節日(ジェ・リー)剪紙」=ドアなど玄関先の装飾に使います。「刺繍(ツー・シィウ)剪紙」。「工芸(ゴン・イー)剪紙」=主として土産物に使われます。「芸術(イー・シュー)剪紙」=プロの作品です。
 この7種が使用目的に沿って制作普及されています。剪紙の原色は赤。赤は生命・太陽・エネルギー・希望を意味し、剪紙に圧倒的に赤が多いのはここに由来しています。

始まりは陜西省、広く世界にも

 中国剪紙の源は、黄河文明の発祥地に位置する陜西省から始まりました。黄河文明の発展につれ剪紙も文明のひとつとして、広く普及されていきました。中国国内では、剪紙協会が各省にひとつはあるといいます。愛好者は1万人以上います。
 また日本をはじめインド、マレーシア、台湾などのアジア圏を中心に、フランス、スイス、ドイツ、フィンランドやアメリカにも広がっています。
 しかし、中国国内では、改革開放政策の進展につれ、後退傾向も見られます。政府は「旧き良き伝統を生かす」よう奨励し、剪紙協会はそのために努力しています。

きりえと共存共栄で発展を

 「日本のきりえとの交流の歴史はまだ20年余りです。最初に日本の『きりえ』を中国に紹介したのは上海の鳳皋(故人)さんだといわれています。日本の有名なきりえ作家、滝平二郎さんの尽力も大きかったと聞いています」と韓さんは語ります。
 韓さんは日本で個展を4回開き、「きりえの創造性に大きな影響を受けた」といいます。今回の「2人展」では、きりえを生かした作品を展示しました(10月15日号4面で紹介)。
 日中友好協会が、「きりえコンクール」や巡回展を開いていると紹介すると、「きりえと剪紙は、源が同じで流派が違う文化の表現ですが、共存共栄し発展できます。協会のきりえ愛好者の中国訪問を期待しています」と嬉しそうに話しました。(お)

韓靖(ハン・ジン)
 1973年中国陝西省生まれ。17歳から本格的に剪紙創作を始める。庫淑蘭・梁澄清氏に師事。「秦・漢・唐文化」を基盤にした剪紙シリーズ「水滸伝」「三国志」「楊貴妃」などの作品多数。日本のきりえ関係者との交流も深い。現在、西安剪紙学会会長、中国剪紙芸術委員会委員、中国咸陽剪紙学会会長などを務める。

 

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