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日中友好新聞

2007年9月25日号1面

素晴らしい文化 囲碁通じた交流に光を
天才棋士 呉清源 中国映画に

写真『呉清源 極みの棋譜』11月、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
 © 2006,Century Hero,Yeoman Bulky Co

 日中戦争前の昭和初期に14歳で来日、日本の棋士たちと交流し、囲碁の新しい創造に貢献した呉清源氏の人生が、中国映画の巨匠・田壮壮監督と日中両国のキャスト、スタッフにより映画化され、今年11月に公開予定です。
 日中国交正常化35周年の今年、中国がルーツといわれる囲碁を通じた交流の歴史に光が当てられています。

日本の囲碁界に大ブーム

 呉清源は7歳から囲碁を学び、類まれなその才能は日本の棋界にも知られ、当時中国よりも囲碁が発達していた日本への留学を勧められます。
 1928年、日本の棋士の尽力もあって、家族とともに来日。日本の棋士らと親交を深めながら、日本囲碁界の第一線で活躍し、盟友でライバルでもある木谷実とともに「新布石」を提唱。昭和の囲碁界に大ブームを起こしました。
 一方、来日3年後の1931年には「柳条湖事件」(「満州事変」)が起こり、日本が中国への侵略戦争を本格化させる情勢のもと、呉清源に対する風当たりも強くなっていきます。
 呉清源は日本で囲碁を続けるため、1936年に日本国籍を取得。母国と戦争をする国への帰化という苦渋の選択をします。
 戦争をはじめさまざまな苦難を乗り越え囲碁を極め続けた呉清源は、戦後1984年に日本棋界から引退。現在、小田原の自宅で囲碁の研究を続けながら静かな余生を送っています。

 

両国映画人の協力で実現

 

 この呉清源の人生を映画に撮ったのは、中国映画第五世代の巨匠、田壮壮監督。呉清源役にチャン・チェン(台湾)、木谷実役に仁科貴、喜多文子役に松坂慶子、川端康成役に野村宏伸、また、衣装デザインを張(チャン)芸(イー)謀(モウ)監督の『HERO』『LOVERS』などを手がけたワダエミが担当するなど、日中両国の著名な俳優、スタッフが結集して作品を完成させました。


 映画『呉清源 極みの棋譜』は11月より東京・シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーの予定(配給=エスピーオー)

 

呉清源(ご・せいげん)

 1914年中国福建省生まれ。本名泉、字は清源。21年に父から碁を習う。中国の清末期から中華民国にかけて活躍した軍人で政治家の段祺瑞とも碁を打ったことがあり、27年には北京囲碁界の第一人者となる。
 28年に来日、瀬越憲作7段に入門。29年3段、同年の木谷実との対戦で黒先の初手を天元(碁盤の中心)に打ち天下をアッと言わせた。33年、木谷と中央重視の「新布石」を考案、34年木谷との共著『囲碁革命・新布石法』は、10万部を超えるベストセラ−に。
 36年日本国籍を取り、42年8段。46年中華民国籍に。
 50年に9段(当時9段は藤沢庫之助と呉の2人だけ)。
 58年に読売新聞主催の日本最強決定戦(六強戦)で優勝。79年再度日本国籍取得、84年に引退。87年勲三等旭日中授章受賞。
 新布石法以外にも「大ナダレ内マガリ定石」、「梅鉢」、「小ゲイマ受け」という新定石を考案。92年には陰陽思想を取り入れ、碁盤全体を見て碁を打つことを目指す「21世紀の碁」(六合の碁)を発表、今も碁の研究に励む。現在日本棋院名誉客員棋士。弟子に林海峰らがいる。

 

先を読む力と熱意に敬服

蘇耀国八段

 

 日本の囲碁界で活躍中の蘇耀国さん(日本棋院八段)は、呉清源氏の棋譜や、木谷実氏とともに提唱した「新布石」についてこう語ります。「いまだに呉清源の棋譜が若い愛好者たちや棋士に支持され読まれていることがすごいですね。つねに先を読む囲碁の打ちかた、変わらぬ熱意に敬服します」
 1979年広東省生まれ、12歳で来日し、プロの棋士として活躍する蘇耀国さんは若かりし頃の呉清源氏の姿と重なります。
 「最強の人物であり伝説的な存在。中国だけでなく囲碁愛好者で知らない人はいません。野球界で言えば王選手や長島選手のような方ですから…」と先輩の偉大さを熱く語ります。しかし、囲碁に対する思いは負けてはいません。
 「囲碁は言葉も国籍も関係ありませんが、囲碁を通して相手の人間性や強さが分かります。お互いの強さを認め、一局打つだけで友好が深まる力を囲碁はもっている。素晴らしい文化だといつも思っています。囲碁を打つことで日中友好を深められたらうれしいですね」

 

11月に協会「囲碁」イベント

 

 日本中国友好協会は、中国伝来の囲碁を通じた文化交流を長年行なってきました。
 今年も第24回日中友好囲碁大会を11月11日(日)、日本棋院で開催します。実行委員長に金子ハルオ氏、審判長に蘇耀国氏を迎え、囲碁の愛好家たちが熱戦を繰り広げます。申し込み締切りは10月末。
 また、11月25日(日)から29日(木)まで「蘇耀国八段と行く日中アマチュア囲碁対局ツアー広州・桂林の旅」を企画。申し込み締切りは10月19日(金)。
 囲碁大会・ツアーの問い合わせは 電話03(3234)4700日中友好協会・日中友好囲碁大会実行委員会まで。

 

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