日中友好協会(日本中国友好協会)

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公式見解

−協会声明−「中国『残留孤児』訴訟への新支援策」受諾にあたって

 中国「残留孤児」国家賠償訴訟原告団・弁護団は、7月8日与党プロジェクトチームが提示した「新しい支援策」の受け入れを決定した。わが協会は、この決定を支持し、次の見解を明らかにする。
 【1】 新支援策は、孤児支援を「生活保護の枠内に閉じ込める」という従来の厚生労働
省の支援策を根本的に転換し、基礎年金の満額支給に加え、孤児独自の給付金を支給、住宅・医療・介護など生活全般にわたる支援を図るというものである。これは収入認定制度の形式をとっているものの、中国「残留孤児」の置かれた特殊な事情に配慮し、多くの認定除外を設け、また実質的には全ての孤児を対象とするという水準の高い支援策となった。これは高く評価される内容である。
 同時に重要なことは、これがどのように運用されるかということであり、今後も支援制度の一層の充実のためにその推移を見守り努力することが必要である。この「新支援策」は、来年4月からの実施をめざし、今秋の臨時国会に従来の「自立支援法」の内容を改定した形で立法化される見通しとなっている。立法化すれば訴訟は終結する。  
 【2】新支援策の決定は、最終的には与党プロジェクトの尽力によって実を結んだ。しかしこの原動力となったのは、原告団の一丸となった奮闘、弁護団の献身的な努力、支援団体の活動などによる国民世論の大きな支持が背景にあったことは明らかである。協会は、全国16の地裁・高裁における訴訟全てを支援し、多くのところで「支援する会」を作り、その中心となって努力した。また支援運動の要であった「100万人署名達成」に大きく貢献した。世論を盛り上げるうえで果たしたマスメディアの役割も大きかった。2002年の東京地裁提訴から、4年半にわたる長期の闘いを粘り強く進めていただいた会員と協力いただいた全ての方々に深く感謝する。
 【3】原告は、「日本政府の謝罪」を強く要求してきた。しかし、安倍首相は、原告に対して最後まで謝罪はしなかった。これは、日本政府が「残留孤児」を生み出した侵略戦争を真剣に反省していないことを意味している。侵略戦争責任の明確化は今後も厳しく追求されなければならない。
 訴訟は終結の方向に動いているが、これで中国「残留孤児」問題がすべて解決したわけではない。全ての残留孤児・残留婦人と2世3世が、真に日本人として社会に溶け込み、心の底から「帰ってきてよかった」という実感を持てるよう日常的な交流の強化をはじめ支援を継続することが一層重要になっている。協会は、その先頭に立って奮闘する決意を新たにするものである。            
2007年7月13日
                           日本中国友好協会(会長 長尾光之)


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