日中友好協会(日本中国友好協会)

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公式見解

大会あいさつ 「右翼的潮流に抗して」
(2001年5月20日、日本中国友好協会第50回全国大会)

 全国から大会に参加された代議員、評議員、役員の皆さん。
 21世紀最初の記念すべき第50回大会が271人の方々のご参加を得て、このように盛大に開かれたことを、21世紀に向けての協会の未来、その力強い新たな発展を占うものとして喜ぶとともに、この大会をぜひとも協会の大きな発展の出発点にしたいと決意しております。
 そして、この大会の準備のために奮闘された地元岐阜県連の皆さんのご苦労に心より感謝申し上げます。
 またこの大会めざして組織拡大等に奮闘された全国の会員及び大会参加の皆さんに深い敬意を表します。そして本日の大会にお忙しい中を連帯のごあいさつにつに来てくださった平和民主団体の来賓の方々、特に東京から遠路岐阜まで来てくださった駐日中国大使館の張恒一等書記官のご来場を心より歓迎し感謝申し上げます。

 さて最近の小泉内閣の出現は、「正直」、「率直」、「聖域なき改革」など一見革新的なパフォーマンスによって異常な国民的支持をさらいましたが、彼の叫ぶ主張は、従来の自民党が曖昧にごまかしてきたその右翼的本質を大胆かつ露骨にさらけ出した恐るべき内容のものでした。
 私は、ファシズムとはこのような形で出てくるものか、という思いにおそわれました。かつての「昭和維新」が日本を侵略戦争の泥沼に引きずり込んだ苦い経験を思い出したのです。また短期に終わった細川政権や橋本政権、あるいは石原東京都知事の出現の時を想起しました。それぞれ違いはありますが、いずれも保守勢力の所属でありながら、ゆぎづまった保守的現政権を否定し、根本的改革を実現してみせると声高に叫んで国民の人気をさらい、大きな期待や幻想を抱かせました。しかし将来のためにと称してもっぱら国民にこれまで以上の反動的政策を強行し、痛みや犠牲を強いる点で共通しています。

 特に今回の小泉内閣が提起している改革の内容は、米軍との共同作戦を合法化する「集団自衛権」の検討、さらなる軍拡をめざす「中期防衛力整備計画」の推進、将来若者たちが命を惜します戦うようになることを期待しての靖国神社公式参拝の決定、侵略戦争を美化する中学歴史・公民教科書の、検定合格の容認、日本を「戦争する国」にするための憲法改悪の策動、そして日米共同作戦体制確立のための有事法制策定の動きなど、どれを取っても再び危険な戦争への道をめざすものばかりです。
 これらは明らかに政府の行為による憲法蹂躙であり、国連憲章にもそむくものです。また「日中共同声明」「日中平和友好条約」「日中共同宣言」での約束を破る背信行為であり、中国をはじめアジア諸国との友好関係に重大な障害をもたらすものです。かつての侵略戦争でアジア諸国民に甚大な被害を与えた日本にとって、法的にも道義的にも絶対に許されない道ではありませんか。

 小泉内閣のあまりにも露骨な右翼的軍国主義的言動は、いずれ国民の批判にさらされることは明らかですが、この危機的状況の中では一刻も早く大きな反対の世論を起こし、この内閣の危険な本質を国民のなかに知らせていくことが重要です。日本と中国が本当に平和で友好的な協力関係を築くことが、日本の平和と繁栄のためにも、アジア、ひいては世界の平和と繁栄のためにも、どれほど重要かという認識を新たにし、国民の平和の願いに依拠しっつ、確信を持って21世紀における日中友好運動の発展のために、協会の全国の力を結集して奮闘しようではありませんか。以上ごあいさつと致します。

2001年5月19日
日本中国友好協会会長 伊藤敬一


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